マルチアングルリフレクション(MAR)
ワークショップ実践後のプログラムデザインの振り返りを通して、ワークショップデザイン力の向上を目指すワークです。
参加者の感想に丁寧に向き合いながら、今後のワークショップにも活かすことができるような引き出しを増やすことができます。

概要
「マルチアングルリフレクション」は、ワークショップデザイナー自身の熟達のために活用できるコンセプトワークです。ワークショップ実施後に参加者からの感想を集めますが、すぐには目を通さず、まずは実施者の感想を自分たちで整理します。その後、参加者の感想に目を通します。ワークショップの場面ごとに、実施者の感想と参加者の感想の両方に丁寧に向き合いながら、次に同じワークショップを実践するならどんな改善案があるかを複数検討することで、今後のワークショップにも活かすことができるような引き出しを増やすことができます。
具体的な手順
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Step 1.
参加者の感想を集める
ワークショップ実施後に、参加者に感想を書いてもらいます。感想は、プラスポイント(面白かった・夢中になれた等)とマイナスポイント(やりづらかった・違和感を覚えた等)に分けて書いてもらうことで、両方の視点の感想を集めることができます。また、ワークショップのどの場面でそのような感想を抱いたのか分かるように、場面も合わせて書いてもらいます。集めた感想は、すぐに見ずに保管しておきます。
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Step 2.
実施者の感想を書き出す。
実施者も、プラスポイントとマイナスポイントに分けて、実施者視点での感想を書きます。参加者と同じく、どの場面で感じたのか場面も合わせて書きますが、そのときにワークショップの最初から最後まで、全体を思い出して書き出すことが重要です。
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Step 3.
実施者の感想と参加者の感想を整理する
Step1で集めた参加者の感想と、Step2で書き出した実施者の感想を、場面ごと・時系列に整理して模造紙に並べます。
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Step 4.
場面ごとに改善案を複数考える
Step3で整理した参加者・実施者の感想に目を向けながら、場面ごとに丁寧に振り返ります。その場面に寄せられた感想を読みながら、次に同じワークショップを実践するならどんな改善案があるかを検討します。そのときに改善案を1つではなく、様々な角度から複数考えることで、短略的ではない本質的な課題を見つけ出すことができます。
体験者の感想
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先に実施者の視点から振り返りができたので、参加者の感想を真正面からではなく冷静に受け止めることができ、いい改善案ができました。また、改善案を最低2つ考える枠組みになっていたため、1つで満足せず「他にないか」と考えることで、結果的に3つ改善案を考えるきっかけにもなり、このように仕組みで思考の幅を広げることもできるのだなと大変勉強になりました。
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実施直後は、時間の調整が必要と強く感じていたのですが、多様なアングルから改善案を検討することで、時間だけではなく、問いの投げかけ方やグループサイズを変更することでもワークショップをブラッシュアップできると気づけました。
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事前に学習目標やトークテーマについてかなり深く話し合ったつもりでしたが、リフレクションでは新たな視点での改善案がたくさんあがりました。マルチアングルリフレクションを積み重ねることによって、熟達が図られるのだということを体感しています。